今日からいよいよ11月。2016年も残すところ2カ月になりました。
そこで今回は、11月の誕生石「トパーズ」にまつわる、不思議な物語をご紹介!
「黄玉」の和名でも知られる宝石、トパーズは、その名のとおり、美しいイエローに輝くものが有名ですが、その他にも青や緑、オレンジやピンク、それに透明なトパーズも存在することが知られています。
古代から愛されてきたトパーズですが、実はよく似た宝石と間違われていた(?)という話もあるのです。トパーズにまつわる不思議な物語とは?
その島で採れる石は、トパーズ? それともペリドット?
ブルートパーズ。内部に柱状の結晶が透かし見える
紅海に浮かぶ島「トパゾン島」がその名の由来と言われるトパーズ。
この島では数千年前から宝石の採掘が盛んで、採れた石がいつしかトパーズと呼ばれるようになったのだと言います。
しかし、実はこの石、現在でいう「ペリドット(クリソライト)」なのだそう。
古代ギリシャ・ローマの人びとは、ペリドットのことを「トパーズ」と呼んでいたらしいのです。
逆に、実際にはトパーズである石を「クリソライト」と呼んでいたのだとか。
古代エジプトの文献、また聖書にもトパーズと思われる黄色い宝石が登場しますが、
これらも、イエロージャスパー(黄碧玉)である可能性が高いのだそうです。
何ともややこしい話ですが、いにしえの人びとが、神秘的に輝く「黄色い石」をあがめ
護符や魔除け、お守りとして持ち歩いたのは、間違いなさそうです。
信仰あつい人びとから愛されたトパーズ
トパーズはまた、人びとの信仰心とも深く結びついています。
中世ドイツの修道女である聖ヒルデガルドは、トパーズをワインに3日3晩ひたし、そうして湿ったトパーズで目をこすると「かすみ目」が治ると説きました。
また、ローマ教皇クレメンス6世とグレゴリウス2世が所有していたトパーズは、ペスト患者を病から救ったといいます。
ヒンドゥー教でも、トパーズはサンゴやキャッツアイなどとともに「5つの聖なる宝石」の1つとされました。
神さまに捧げる「カルパ・ツリー」(宝石の木)にも、トパーズが使われます。
「闇の中で光る石」「光をもたらす石」と信じられていたトパーズ。
ちなみにお守りとして持つ場合、左の胸につけると「悪魔のわなから逃れられる」とされていたそうですよ。
ピンク色のトパーズ、人気の秘密は?
淡いピンクが美しい、トパーズと原石
近年、とくに人気を集めているのが、ピンク色のトパーズ。
天然のピンク・トパーズは、ロシアやパキスタンなどで採れますが、産出量がとても少なく、人工的に着色しているものも多いのだとか。
その他、ブラジルなどで産出する、赤みを帯びた「インペリアル・トパーズ」や、紫色の「パープル・トパーズ」も珍重されています。
とはいえ、「珍しい」からといって、必ずしも「お気に入り」にならないのが、宝石の面白いところ。
所有する者の心を安らかに、リラックスさせる効果があるとも言われるトパーズ。
11月生まれの方も、そうでない方も、この機会にお気に入りのトパーズを探してみてはいかがでしょうか?