日本気象協会は、風邪のひき始めに注意が必要になる時期をあらわした、今シーズン(2016年~2017年冬季)の
「風邪ひき前線」を発表しました。風邪ひき前線とは、過去データから解析した風邪が流行り始める気象条件を参考に、
風邪への注意の始め時のタイミングをあらわした前線です。一般的に気温と湿度が低いほど、風邪に注意が必要な時期は早まる傾向があります。
今シーズンの風邪ひき前線は、11月中旬に北海道からスタートし、
徐々に東北地方へ南下する見込みです。一方で12月に入ってからは、乾燥する
本州の太平洋側から次第に日本海側へと移っていくでしょう。九州・沖縄地方は
年末から年始にかけて風邪ひき前線が到達するところが多くなりそうです。なお、すでに北海道ではシーズンに突入しているとみられます。早めの対策がおすすめです。
【都市別の傾向】
札幌ではすでに風邪ひき前線が到達していると考えられます。12月中旬にはピークを迎えるでしょう。東京と福岡では12月中旬頃にシーズンに入り、年明けの1月上旬頃にピークに差し掛かると考えられます。11月に入ってから、特に北日本から東日本にかけてはぐっと冷え込むようになりました。そろそろ生活の中で風邪対策の準備を始めるようにしましょう。
2016年度風邪ひき前線(2016年11月22日発表)
「寒いから風邪をひく」は間違い!?実はウイルス蔓延の原因は「絶対湿度の低下」
風邪やインフルエンザなどのウイルスによる感染症は、冬の方が流行しやすくなります。なぜ冬に流行しがちか、その理由をご存知ですか?よく、「寒くて風邪をひく」と言いますが、これはやや誤りです。実は、気温よりも湿度(特に絶対湿度)が要因で、絶対湿度が低いほどインフルエンザなどのウイルスは生存率が高くなります。
絶対湿度とは、単位体積あたりに含まれる水分量のことです。気温が低いほど空気中に含むことのできる水分量は少なくなるため、夏に比べて冬の方が水分量は少なくなります。加えて、夏よりも冬の方が相対湿度も低いため、相乗効果で冬の絶対湿度はより一層小さくなります。乾燥する冬は「絶対湿度」が一気に低くなり、ウイルスが生存しやすい環境になってしまうことが原因で、風邪などの感染症が流行りやすくなる傾向があります。また、乾燥していると気道粘膜の防御機能が低下し、よりウイルスに感染しやすくなってしまいます。
このように、冬は環境的な要因でどうしてもウイルスが増加しやすい季節であるため、「自分は健康だから大丈夫」と安心せず、日ごろよりウイルスから身を守るように心掛けることが大切です。