ひと口に「真珠」といっても、色や形、産地もさまざま
古い時代、ヨーロッパの人びとにとっての真珠は「オリエントの富」の代表でした。
アラビアの馬、インドのスパイス、そして真珠……人びとは、東方からもたらされるこれらの品々に憧れたのです。
13世紀に至り、アジアを旅したマルコ・ポーロが著した「東方見聞録」には、「インドと日本で美しい真珠がとれる」との記述が。
以来、真珠を求める人びとの熱い視線が、はるか東方の島国に注がれるようになりました。
ポルトガルが、真珠採集が盛んだったインドを支配していた時代。
イエズス会の宣教師たちが、真珠採りに従事する人びとの監督を請け負っていたという話があります。
そういえば、イエズス会が日本で拠点にした長崎県の大村湾は、古くから真珠の産地として知られた場所。
かのザビエルさんも、布教のかたわら真珠を探していたのかもしれません。
昭和のある時期、「アコヤガイは日本の固有種」「真珠を生産できるのは日本だけ」などの説が出まわったそう。しかしDNA解析で、世界に分布するアコヤガイはどれも近縁種であることが明らかになってきています。
とはいえ、貝の個性や産地によって「純白」「クリーム色」「ピンク色」などの個性が現れるのが、真珠の奥深さ。産地にこだわって真珠を選ぶのも素敵ですね!