青かった麦の穂が実り、そろそろ刈り入れの時期を迎えています。
初夏、麦が黄色く色づいてゆくのを、米が実る秋になぞらえて、「麦秋(ばくしゅう)」、「麦の秋」といいます。
これは、麦が熟し、麦にとっての収穫の「秋」であることから、名づけられた季節の呼び方。夏の季語の一つとなっています。
病人のかごも過ぎけり麦の秋(与謝蕪村)
麦秋や子を負いながらいはし売(小林一茶)
農耕に生きた昔の人は、黄金色の麦畑を見て、初夏を感じていたのでしょう。
「麦が豊年なりゃ米も豊年」とは、紀伊地方に残された豊作を喜んだことわざ。
麦と米。二毛作の田んぼでは、麦の収穫が終わると、これからあわただしく田植えの作業が始まるのです。