文学について得意でない方も、白樺派という言葉は耳にしたことがあるのではないでしょうか。白樺派とは、学習院大学の同窓生や知人によって創られ同世代の作家が寄稿した同人雑誌「白樺」から派生した文学思潮のひとつです。自由主義を背景とする人間的で個人主義、理想主義的な作風の小説家が輩出されました。中でも志賀直哉氏は白樺派を代表する小説家と言われています。また、白樺派の思想的代名詞と呼ばれる武者小路実篤とは異なり、戦後発表した随想の中で、戦争には反対であったと分かる表現があり、文学界におけるその意思表示は柔らかなものでした。奇しくも、今日は国際反戦デー。ひと昔前ほど一般思想に対する文学界の影響は強くありませんが、志賀直哉氏らの最盛期にはその強さが見て取れます。