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Utsuke Bron

そろそろ忠臣蔵の季節。開場50周年の国立劇場記念公演が見逃せない

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そろそろ忠臣蔵の季節。開場50周年の国立劇場記念公演が見逃せない

国立劇場

国立劇場

めっきり秋も深まってきた今日この頃、気が付けば今年も暮れまであと2か月余り。忠臣蔵の季節も近づいてきましたね。この9月で開場50周年を迎えた東京半蔵門・国立劇場では、来年3月まで、伝統芸能の粋を集めた記念公演が目白押しです。特に歌舞伎では10月・11月・12月の3か月に渡って、文楽では12月に、『仮名手本忠臣蔵』が全段の通しで上演されます。大作・忠臣蔵の通しは、演じる側にとってもたいへんなエネルギーを要求される演目。充実した舞台が期待される一連の公演は、見逃せない絶好の機会になることでしょう。小説や歴史書で赤穂事件を読み比べても、いっそう忠臣蔵の味わいが深まります。

12月の小劇場での文楽公演では、一日で通し観劇が可能

国立劇場の幕間

国立劇場の幕間

『仮名手本忠臣蔵』は、赤穂事件の討ち入り事件から約50年後に竹田出雲・三好松洛・並木千柳の三人により人形浄瑠璃(文楽)のために書かれ、寛延元年(1748年)8月、大坂竹本座にて初演された作品です。すぐに人気となり、間もなく歌舞伎上演にも移されました。

『仮名手本忠臣蔵』の「仮名手本」とは、赤穂四十七士をいろは四十七文字になぞらえたもの。江戸時代は、当時起こった事件をそのまま文芸や戯曲で取り上げることを幕府が禁じていたので、舞台設定が南北朝時代に置き換えられています。

12月に小劇場で上演される文楽公演は、午前10時半開演の第1部、午後4時半開演の第2部の構成。続けて観れば、一日で通し狂言として観劇することが可能です。終演は午後9時30分となり体力も問われますが、覚悟溢れる登場人物たちの思いをずっしりと受け止め、感動冷めやらぬ一日となることでしょう。 

歌舞伎『仮名手本忠臣蔵』の全段完全通し上演は30年ぶり

赤穂浪士が眠る泉岳寺

赤穂浪士が眠る泉岳寺

大劇場の10月から12月の歌舞伎公演では、『仮名手本忠臣蔵』が、大序から十一段目まで、3か月をかけて全段完全上演されます。同劇場での全段の通し上演は、86年の開場20周年記念公演以来、なんと30年ぶり。劇場側の抱負「いつもは腹八分目の『忠臣蔵』を、今回は満腹になるまでみてもらいたい」の通り、フルコースの醍醐味を味わう3か月になるでしょう。

そもそも歌舞伎とは、江戸時代に成立した、舞踊・音楽・科白劇などがてんこ盛りの庶民的な総合演劇。一本の長い演目を夜明けから日没まで、合間に休憩の幕間も挟みつつ、一日がかりで楽しんだ芸能でした。しかし多忙な現代では、それぞれの作品の見せ場や踊りのみを上演する、「見取り」スタイルでの上演が多くなっています。

作品によっては見せ場で登場する子殺しや切腹が、残酷と評されることも少なくありません。しかし通しの物語で観れば、人間関係上生じてしまった義理と人情の板挟みや、追いつめられやむにやまれず、といった物語の背景が浮かび上がります。時代は違えど同じ日本人として、登場人物の心情に共感や理解が広がるのです。

そんな普遍の説得力を持っているからこそ、江戸時代から続く歌舞伎や浄瑠璃の作品が、今も毎年どこかで上演されているのでしょう。『仮名手本忠臣蔵』の人間味あふれる群像ドラマは、ぜひ一度は通しで観劇することをお勧めしたい名作です。 

小説から歴史書まで、赤穂事件を多面的に味わってみよう

いっぽう、1702年(元禄15年)に起きた史実としての赤穂事件を題材として、直後から現代に至るまで、戯曲から小説、映画、そしてバレエなどの幅広い分野まで、さまざまな作品が創作されてきました。代表作および決定版と言われるのが『仮名手本忠臣蔵』ですが、『忠臣蔵物』として一ジャンルが確立するほど日本人に愛されてきた一連の物語は、観劇以外の方法でも探ってみる価値がありそうです。

その一部をご紹介しますと小説では、芥川龍之介の『或日の大石内蔵助』、大佛次郎『赤穂浪士』、井上ひさし『不忠臣蔵』、池宮彰一郎『四十七人の刺客』など、斬新な解釈や、義士以外の人々に焦点を当てた切り口が生まれています。

歴史書としても、数多くの書籍があります。たとえば、山本博文氏の著作『「忠臣蔵」の決算書』では、赤穂事件を財政的側面から読み解いています。また、野口武彦氏の野口版「忠臣蔵三部作」と呼ばれる『忠臣蔵─赤穂事件・史実の肉声』『忠臣蔵まで』『花の忠臣蔵 』は、忠臣蔵を通じて、いまなお日本人の心性の根底にある何ものかが分析されています。

忠臣蔵の物語と赤穂事件の史実を比較する試みも、新たな秋冬の愉しみとなることでしょう。

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