モーツァルトの名前は誰でも知っているでしょう。
交響曲から宗教曲、室内楽からオペラや歌曲まで、たくさんの美しい音楽を残しています。
その中で、27曲も作曲しているのが、ピアノ協奏曲(コンチェルト)です。
キラキラと輝くピアノと、聴くものを包み込むようなオーケストラの豊かな響きが両方楽しめるピアノ協奏曲は、オペラのアリア以外ではもっとも「モーツァルト的」かもしれません。
27曲あるうち、特に日本で人気が高いのが、第20番ニ短調K.466でしょうか。
あふれる悲しみを押しとどめようとするかのような旋律のくりかえしは、たしかに日本人好みかもしれません。ほのかに明るい第2楽章にも救われます。
短調の曲はこのほかにも第24番ハ短調K.491があり、特に第2楽章の回想するような静かさは忘れがたいものです。
長調で一番美しいのは、何と言っても第23番イ長調K.488でしょう。この曲も人気があります。
冒頭の流れるような旋律、第2楽章の陰りのあるメランコリックなメロディー、そして躍動しながらもどこか寂しげなメロディーが交錯しつつ、大きなクライマックスへといたる第3楽章は、モーツァルトの音楽の中でも白眉です。