イチョウが「生きた化石」と呼ばれているのをご存じでしょうか。
2億年前にはすでに、イチョウ類はその実が大好物な恐竜たちによって各地に種子が(フンと一緒に)ばらまかれ、広く繁殖していたといいます。しかし、恐竜の絶滅とともにイチョウも衰退。世界のほぼ全域から姿を消してしまうのです。ところが、たった1つだけ、中国の山の片隅で生き残った種類が! その強い隠し子は里に移されてすくすく育ちます。やがて、日本を経由して世界じゅうで栽培されるようになり、今に至ります。現生するイチョウは、なんとこの一種類のみなのです。
日本でイチョウについての記述がはっきり出てくるのは、15世紀中期以降。それで平安貴族はこの黄葉を知らなかったのですね(万葉集に登場する「チチノキ」はイチョウを指すという説もありますが、別の落葉樹だと考えられています)。今もギンナンやイチョウ葉エキスは健康食品として話題ですが、当時の主な目的も薬用・食用だったようです。そして火災や大気汚染に非常に強いことから、街路樹としても用いられるようになります。優れた資質をヒトに見いだされたことで、その黄金の木はまた世界のあちこちで活躍することになったのです。
伝統ある学校や自治体のマークとしてもおなじみのイチョウ。苦境を生き抜き人に役立つ、という志もこめられているのかもしれませんね。
この風流な方たちがイチョウをほっとくわけがないし