秋になって毎週のように台風が発生した今年(2016年)。
台風といえば強風の被害も心配ですが、洪水をはじめ、がけ崩れや土石流、地すべりなど大雨による被害も心配です。
テクノロジーの発達で、天気予報の精度は大幅に上がりましたが、それでも被害を完全になくすことはできません。
できるだけ被害を減らす=「減災」のための努力が、私たち一人ひとりに求められています。
そのために必要なのは、豊富な情報を「整理」し、「判断」するための知識です。
豪雨に備えて何を考え、何を準備しておくべきかをまとめてみました。
「災害がない土地だと思っていた」は、被災現場での頻出ワード
「まさかここで、こんな災害が起きるなんて」
「ここは、災害が起きない場所だと思っていた」
どこかで聞いたことがあるような気がする、これらの言葉。
実は、災害の起きた現場で、よく耳にするものなのだそうです。
人間の知識や経験は、もちろん大切にすべきなのですが、限界もあるのが事実です。
記憶違いがあったり、うっかり忘れてしまったり……。
「せっかくの教訓が、数十年のあいだに忘れ去られてしまう」
「限られた体験から、間違った知識が伝承されている」
これらも、よくあることだと言います。
「記録をさかのぼったら、同じレベルの災害が発生したことがあるとわかった」というケースもあります。
自分が住んでいる地域で、過去にどのような災害が起きたのか、真実を知っておくことが大切です。
「地形」を知れば、注意すべきポイントが見えてくる
周辺の地形を頭に入れておけば、被害の予測が立てられる
雨量や水位の情報などがリアルタイムで入手できるようになった現代。
しかし、たとえ同じ雨量でも「A町では災害が起きず、B市では災害になった」ということもあり得ます。
また、普段からよく知っている場所でも、景観が驚くほど変わってしまうこともあります。
・自宅付近ではそれほど降っておらず、「このくらいなら大丈夫」と思っていた
→上流で大量の雨が降り、浸水被害を受けてしまった
・雨がやんだから、「もう大丈夫だろう」と河川の様子を見に行った
→ゆるんだ地盤が土砂崩れを起こし、巻き込まれてしまった
・都市部に住んでいるが、近くに暗渠になった河川がある
→土地そのものは低いままのため、浸水被害を受けてしまった
このような被害が起きる可能性があるのです。
予測の精度を上げるポイントは「地形」です。
近くに川があるかどうか、傾斜地があるかどうか……。
そして、天気予報をチェックする場合は、「今いる場所」だけでなく、上流にあたる地域の雨量を確認する習慣をつけましょう。
出張や旅行の際も、カーナビだけでなく、地形図を見ることをおすすめします。
「tenki.jp」などの、日本各地や世界のお天気情報がわかるサイトをブックマークしておくのもいいですね。
「災害マニュアル」を作れば、担当者が代替わりしても安心
オフィスでも家庭でも、「マニュアル」「リスト」を作成しておくと混乱を防げる
オフィスなどでは、担当者が変わると、災害に関する記憶も失われがち。
そこでおすすめしたいのが「災害マニュアル」の作成です。
雨量が何ミリを超えたらどんな措置をとるか?
社員や社屋をどう守るべきか?
過去の事例と、そこから編み出した対策をマニュアル化しておくのです。
毎年、たとえば「防災の日」などに定期的に共有しておけば、いざという時にも迷わず行動できるはずです。
安全な(高い)場所に移動させる「大切なもの」リストを作ろう
家庭では、いざという時やることの「優先順位」を決めておくと安心です。
「○○まで水位が上がったら、高台にある知人宅に自動車を移動させよう」
「△△の時には、大切な書類を家族の□□が持ち出そう」
など。
「重要な書類」
「パソコンなど、持ち運びが可能な家電製品」
「ふとん類、衣類」
「畳の部屋がある場合は、畳あげ」……。
安全な場所に移動しておきたい「大切なものリスト」を作成し、主に誰が担当するかを決めておくのです。
必要な時にすぐ持ち出せるよう、日ごろから整理整頓をしておくのも大切ですよ。
その土地の地形や気象条件などによって、災害が発生する条件は千差万別。
「水位が○センチ上がったら~~しましょう」といった、一律のアドバイスはできないものです。
必要な情報をじょうずに集めて、大切な命や家、財産を守っていきましょう!