明治以降近代の「初雪」の句は、江戸の俳諧の世界観よりも、いっそう人の軸へと視点が移動していくようです。それでも初雪を喜び、自然の移ろいに心を留めて思いにふける。そんな時の過ごし方を知っている日本人は、やっぱり幸せですね。
誰かある初雪の深さ見て参れ 正岡子規
初雪や俥とめある金閣寺 野村泊月
うしろより初雪降れり夜の町 前田普羅
山初雪やどりぎの毬白くしぬ 山口青邨
今朝は初雪あゝ誰もゐないのだ 太宰 治
水枕替ふ初雪の夜なりけり 高橋千草
初雪へ園丁鶴を先ず放つ 金田きみ子
いかがでしたでしょうか?先人の作品を味わうのみならず、今度の初雪や積雪に、一句ひねってみませんか?季語と遊ぶ冬も風流なものですよ。