『ジョニー・アップルシード―りんごの木を植えた男』アーバンコミュニケーション 1992
アメリカで広く栽培され、収穫を祝う祭りも開催されるリンゴには、今も語り継がれる伝説があります。開拓時代、たったひとりでリンゴの種を携えて東部から中西部まで徒歩で移動しながら、リンゴ園を作り続けた人がいます。聖書の言葉を伝えながら質素な身なりで人々のために無償で行う行為に、やがて感謝と尊敬の念が沸き起こり、彼は聖人として迎えられるようになります。
この「ジョニー・アップルシード」と呼ばれる聖人は実在の人物。本名ジョン・チャップマン(1774年9月26日〜1845年3月18日)はマサチューセッツ州で誕生し、ペンシルベニア州、オハイオ州、インディアナ州、イリノイ州、ケンタッキー州へと、彼のリンゴの種を植える聖なる行為は広がっていきます。リンゴの種にちなんで、人々は彼をAppleseed(リンゴの種)と呼ぶようになりました。
ジョニー・アップルシードの忌日として広まった3月11日、誕生日の9月26日は「ジョニー・アップルシードの日」として、アメリカの記念日となっています。また、リンゴの収穫時期には、「ジョニー・アップルシード祭り」が開催され、アップルパイやアップルサイダーなどが振舞われるとか。アメリカでは、リンゴは開拓時代を通して人々を支えてきた特別な果物なのですね。