私たちが普段使っている温度は摂氏(℃)です。氷点が0℃、沸点が100℃で、10進法に慣れている私たちにとって直感的にわかりやすい数字です。単位の中の「C」は、世界ではじめて実用的な温度計を提唱したスウェーデンの天文学者セルシウス(Celsius)の頭文字をとってつけられました。
一方、ファーレンハイトが考え出した華氏温度(°F)は、当時得られた最低温度を0 °F(約-17.8℃)とし、
・氷点…32 °F (0℃)
・人間の平熱…96 °F (35.5℃。ちょっと低いですね)
・沸点…212 °F (100℃)
としました。つまり、氷点32 °Fから沸点212 °Fまでを180等分することができます。
氷点が「32」というのはとても半端な数字に思われますが、当時は今のような10進法よりも、ざっくりと2分の1や3分の1と分けたほうが測りやすかったようです。この「32」という数字は当時としてはとても合理的な数字でした。
32は2の5乗なので、0から32の目盛りを作るとき、半分にする作業を5回繰り返すと32等分することができるからです。さらに、氷点32 °Fに、32の2倍である64を足すと、人間の平熱96 °Fになります。
2進法、つまり、2倍2倍…、または、半分半分…で目盛りを作ることができるので、当時の「32」はとても“作りやすい”数字でした。華氏温度は現在でもアメリカやイギリス、カナダなどで使われています。
ところで、どうして華氏、または摂氏とよぶのでしょう。それは、中国で、ファーレンハイトを「華倫海特」、セルシウスを「摂爾修斯」と書くので、「華氏」または「摂氏」と表記するからです。また、「32 °F」は、英語では「32 degrees Fahrenheit」、略して「32 deg F」と表されます。