竹の花:バンブーガーデン
いつも鮮やかな緑の竹は生命力の象徴としておめでたい植物のひとつです。まず思い浮かぶのはお正月の門松でしょうか。また建築工事の無事や家の繁栄を祈る地鎮祭では、祭壇をつくる場所は竹を四方に立ててしめ縄を張り神聖な場所とします。いつも鮮やかな緑を保ち冬でも枯れないこと、またしなやかで丈夫だということから「生命力」や「成長」の象徴として飾られますが、いったい竹はどんな植物なのでしょうか?
タケノコ堀りなら竹林へ、というのは常識ですが、ではタケノコはどのように生えているのかご存じですか?
じつは土の下に竹そっくりな地下茎があります。その節から芽がでて新しい竹が誕生するのです。それがタケノコです。美味しいタケノコが欲しかったら土の中にある物を探せ、土の上に顔を出してしまったらもう堅い、といわれるのがこの芽の出方からよくわかります。タケノコの生長は速いのでタケノコ掘りに行った時には大地の息吹を見逃さないようにしてくださいね。竹はなんと1日で1m伸びることもあるそうです。通常はおよそ数ヶ月で立派な竹になります。竹材として利用するものは3年から5年くらいが適切ということです。地下茎も地上の竹に負けずに伸びていき、やがて竹林を形成していきます。
ところで、お気づきになりましたでしょうか?
竹は他の植物のように毎年花を咲かせ、受粉によって実をつけその実が新しい芽を吹いていく、という繁殖過程をとらない植物だということです。
このような無性生殖をする竹ですが、たった一度だけ花を咲かせ実をつけます。それは枯れる直前です。子孫を残すための自然の力でしょうか。竹の寿命は長く、発芽してから枯れるまで孟宗竹は60年、真竹は120年というサイクルを持つといわれています。ですから竹の花が見られるのは滅多にないこと、本当に珍しいことなのです。
民謡「会津磐梯山」では「会津磐梯山は宝の山よ、笹に黄金がまたなりさがる」と歌われ、竹の花は何十年に一度僅かな期間しか咲かず、結実すると黄金の実がなることからめでたい験しとされています。しかし竹の実がなる年には不作から飢饉が多いともいわれています。その真偽はわかっていませんが、お米が不作になるからそのための食料として竹の実がなるんだ、という説や落ちた竹の実を食べて野ねずみが増え作物を食い荒らすからだ、ともいわれています。しかし竹の実がなるということは、今まで緑があふれる元気な竹林が枯れてしまうことですから、決して喜ばしいことではなかったことでしょう。
冬でも枯れずに緑をたもつ美しさや、しなやかで丈夫だということから「生命力」や「成長」の象徴として飾られる竹ですが、生物としての一生には粘り強さと潔さを感じます。