「しめる」調理法は、少しでも長く美味しく食べるための知恵
生のお魚はとても美味しいけれど、長持ちしないのが欠点。
とくに冷蔵庫がなかった時代、生魚を保存するのは至難の業でした。
世界じゅうで、生の魚を少しでも長く、美味しく食べるための工夫が行われていたようです。
フィリピンの料理「キニラウ」をご存知ですか?
酢でしめた魚を、タマネギやレモン汁、トウガラシ、ココナッツミルクなどであえたものです。
一方、インドネシアのスラウェシ島には、白身魚をライムの汁でしめ、赤トウガラシをたっぷり加えた料理が。
フィジーには、生の魚をぶつ切りにし、塩、胡椒、レモン汁、ココナッツミルク、トマトなどと漬けこんだ「ココンダ」という料理があります。
またタヒチにも、マグロや白身魚を、ネギなどの野菜やレモン汁、ココナッツミルクであえた料理があるのだそう。
他にも、オセアニアや東南アジアなどの各地に、生の魚を酢や柑橘類の汁、調味料などであえた料理が存在しています。
生の魚を薬味やポン酢とあわせた、日本の「たたき」もこれらと似た食べ方と言えそうです。
魚料理に親しんでいた国々で「同時多発」的に生まれたのか?
それとも、どこかで誰かが発明し、広まったのか?
考えてみるも楽しいですね。
冷蔵や冷凍の技術が発達した現代社会ですが、「しめる」料理の美味しさは変わりません。
先人たちの知恵に感謝しつつ、酢や柑橘類を上手に使って、この夏を乗り切っていきましょう!