月のクレーター
月の裏側がどうなっているか……、それは人類にとって、長い間のナゾとされてきました。
1959年、旧ソ連の月探査機「ルナ3号」が、初めて月の裏面の写真撮影に成功。
そして、1961年〜72年に実施されたアポロ計画以来、最大規模の月探査を行ったのが、2007年9月に打ち上げられた月周回衛星「かぐや」です。
月周回衛星「かぐや」の大きな成果のひとつは、これまで探査が行われていなかった地域も含め、すべての地域をカバーする月面地形データが、観測装置のひとつであるレーザ高度計(LALT)によって取得されたことにあります。
このデータを国立天文台が解析し、国土地理院が月の地形図を作成。JAXA、国立天文台、国土地理院の3機関が、月の地形図をついに公開したのです。
そして、このデータをもとに赤色立体地図の手法を用いて作成された月の地形図は、私たちも手軽にブラウザ上で見ることができます(関連リンク参照 ※1)。
最も目を引くのが、月の地形図により明らかになった月の裏側の姿です。
海と呼ばれる部分はほとんどなく、クレーター跡でボコボコとなった月の裏の姿は、表面とはまったく異なる一種不気味な印象すら受けます。さらに見た目だけではなく、「かぐや」の探査結果によって月の裏面の重力場も明らかになり、表面と裏面では地下構造や形成の歴史が異なっていることも判明したのです。