京都・宇治橋にある、「源氏物語」の作者・紫式部像
王朝語で恋愛がどのように扱われていたのか、すこし見てみましょう。
勅撰集(天皇の命によって選ばれる和歌集)で「恋」部が立てられるのは「古今和歌集」から。
「古今集」では恋愛の経過の様子にそって歌が順に並べられています。
恋愛の初期は「見ぬ人を恋ふる(まだ会わない人に恋する)」「はつか(僅か)に見る恋(ちらと見た人に恋する)」「忍ぶる恋(恋心を相手に伝えていない)」などの言葉が使われます。
恋愛が進展していくと「浮名立つ」「人目を忍ぶ」というふうになってきます。
また、「後朝(きぬぎぬ デートの翌朝のこと。別れの朝の情感を指す)」という言葉は、朝に男女が互いの衣を交換して身にまとう、という習俗に由来しているとされます。
「源氏物語」浮舟では「後朝」の味気なさを「おのがきぬぎぬも冷ややかになりたる心地して…」と表現しています。和歌を通じて王朝語の豊かな表現に触れてみてはいかがでしょうか。