映画『東の狼』 出典「なら国際映画祭2016」公式サイト
世界を視野に奈良から情報発信するこちらの映画祭の最大の特徴は、「映画を作る映画祭」であること。世界の若手監督の作品を上映・審査する「インターナショナル・コンペティション」を開催し、そこで最高賞を取った監督は、奈良をロケ地にした映画を製作する権利を手にします。河瀨監督がプロデューサーを務めてバックアップする完成作は、次回の映画祭で上映されるという画期的な試みを行なっています。今回も、アジア、ヨーロッパ、中東と異なる国籍を持つ監督の8作品の上映が決定し、注目を集めています。
この「NARAtive」という独自の企画から誕生した作品のひとつに、奈良・五條市が舞台の『ひと夏のファンタジア』(チャン・ゴンジェ監督)があります。この作品は2014年に同映画祭で初公開された後に韓国で公開され大ヒット、今夏に日本でも劇場公開されました。
今年の「NARAtive 2016」でプレミア上映されるのは、キューバ出身のカルロス・M・キンテラ監督による『東の狼』。奈良県東吉野村を舞台に、藤竜也主演で絶滅したとされるニホンオオカミを追い求める猟師の姿を描きます。東吉野村は1905年に最後のニホンオオカミが捕獲された地で、地域の人たちも撮影に協力している珠玉の作品です。