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みのり・とき・秋霖・秋波・秋水・秋扇 ── 秋の言葉

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みのり・とき・秋霖・秋波・秋水・秋扇 ── 秋の言葉

秋の長雨と紅葉

秋の長雨と紅葉

秋雨前線の動きが気になりますが、晴れ間にふと空を見上げると「いわし雲」「うろこ雲」「さば雲」が秋の空いっぱいに広がっていることがあります。どうやら季節は本格的な秋を迎えようとしています。
「秋」といえば、「食欲の……」「スポーツの……」「行楽の……」「芸術の……」といった言葉で形容されますが、秋を表す言葉は実にたくさんあるのです。辞書をめくりながら秋の言葉を探し、心の散策に出かけてみましょう。 

「秋」という言葉のニュアンス

実りの秋

実りの秋

そもそも「秋」には夏の次の季節を指す意味だけではなく、「みのり」「とき」といった意味もあり、和歌の場合には、同音の「飽き」にかけて使われることもあります。

〈わが袖にまだき時雨(しぐれ)の降りぬるは君が心に秋(飽き)や来ぬらむ〉古今和歌集

「まだき」は「まだその時期にならないうちに」という意味。(晩秋のものとされる)時雨が降り始めたのは、あなたの心に季節の「秋」が来て(その季節と同じ名前のように)、私に「飽き」てしまったのでしょう、という掛詞になっています。
いろいろな植物が実り、ものごとが充実してくる季節、しかし満ち足りてしまうことは同時に飽きてしまうことにも通じる ── 秋という言葉は、そんなニュアンスを持ってきたようです。 

秋の長雨、秋の澄んだ水と女性の目元

秋の澄んだ水辺

秋の澄んだ水辺

今年は台風のもたらす雨に大変な思いをした方も多いでしょう。
秋には台風でなくとも雨が続くことが多くあります。雨量は梅雨の時期よりも多いという統計もあるようです。
秋の長雨のことを「秋霖」(しゅうりん)ともいいます。
「霖」が長雨のこと。「霖霖」(りんりん)は雨のやまないようす。これは漢字を見ただけでも想像がつくかもしれません。 
ところで、「女性が色目を使って異性の関心をひく」あるいは「他人の関心をひく」ことを「秋波を送る」などといいますが、これはなぜ「秋」が使われているのでしょうか。
「秋波」はもともと「秋の水が澄み切ったようす」を表す言葉なのですが、それが「美人の美しい目元」という意味に転じたもののようです。
同じような秋の水の澄んだようすをいう言葉に「秋水」という言葉もあります。
ところがこちらの方は、清らかな女性の眼のようすや心の清らかさを形容する言葉としても使われるのです。

また「秋扇」という言葉があり、これは文字通り秋の扇のことですが、季節が変わると役に立たなくなるもののたとえ、そして漢詩などでは転じて男性に愛情をかけられなくなった女性のことを言います。
これなどは現代の感覚からすると、問題になる言葉かもしれませんが、言葉というのはこんなふうに、使われるごとにどんどん意味が豊かになっていくふしぎなものです。 

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