五稜郭公園のお堀でボート。
五稜郭公園では、2004年から本格的にブルーギルの駆除が始まりました。2011年からは、函館市民ボランティアの釣りによる駆除が行われています。ボランティアに登録しているのは20人。毎年5月~9月の週1日、午前9時~午後3時半まで。6月は産卵期で駆除の効果が高いので、週2日と回数を多くしています。2004年度~2015年度の12年間で、約136,000匹が駆除され、そのうちボランティアが釣り上げたのは、2011年度以降の5年間で、約54,000匹にも上るといいます。
一方、ボランティアの方々も、もともとは釣り好きの人が多く、引きが強いブルーギルを楽しみながら釣っているようです。釣りを楽しみながら、しかも社会貢献できるとあって、この一石二鳥の試みは成功しているといえるでしょう。
ブルーギルは毎年、10,000匹ほどが駆除されていましたが、昨年度は2,000匹でした。最近はブルーギルに交じって在来種であるコイやフナがかかることもあるといいいます。今年は6月上旬までの4日間で279匹を捕獲しましたが、これは過去最小のペースだそうです。北海道の水産試験場によると、五稜郭のお堀のブルーギルは現在、約300匹にまで減っているのではないかということです。
〈参考文献:北海道における外来魚問題,工藤智,日本水産学会誌,Vol.78 (2012),No.5,pp.983-987〉
〈参考文献:日本生態学会編『外来種ハンドブック』 日本の侵略的外来種ワースト100 )
〈参考:北海道新聞2016年6月11日号 みなみ風11面「五稜郭公園の外来魚“ブルーギル”釣り6年目」 〉
北海道新幹線が開業したこともあり、観光のベストシーズンの今、函館に注目が集まっています。なかでも、五稜郭公園はお堀の形が珍しい星型で、タワーからはその五芒星の全景を見ることができます。ところがこのお堀には、いつのころからか、外来魚のブルーギルが棲みついてしまいました。毎年、桜が散るころから専門家たちが駆除を行いますが、この光景はあまり美しくない初夏の風物詩です。しかし、北海道の水産試験場や函館市、市民ボランティアの努力の成果が実り、着実にブルーギルの個体数は減っているようです。五稜郭公園のブルーギルについては解決されつつありますが、世界では大きな問題とされている外来種。五稜郭公園という小さなお堀の中のブルーギルを思うとき、それが実は世界の外来種問題にもつながっているのだと考えずにはいられません。