篠竹の束。降ってきたら痛そうです
夕立(「ゆうだち」または「ゆだち」)は、積乱雲によって突然降りだす大雨のこと。夏の季語になっていて、昼過ぎから夕方頃にかけて降ることが多いようです。昔から夕立は「馬の背を分ける」とか「馬の背の片側には降らない」などと言われ、びしょ濡れになって電車に乗ると次の駅では晴れていた、というような局地的な降りかたをします。
古くは万葉集にも登場する夕立。
「夕立ちの雨降るごとに 春日野の 尾花が上の白露思ほゆ(夕立が降るたびに、春日野のススキに下りた白露を思う)」
などと、人にものを思い起こさせるアイテムともなりました。
夏のにわか雨には、いろいろ呼び方があるようです。
急に降ってきてカサがなく(または開く暇がなく)、ヒジをかざしてガードするから「肘笠雨(ひじがさあめ)」などと呼ばれることも。
篠竹(しのだけ。群生する細い竹です)を束ねて突き刺すように降るから「篠突く(しのつく)雨」。光って見えるから「銀竹(ぎんちく)」。勢いよく降りしきる雨の直線は、真っ直ぐな竹に似ているからでしょうか。もう少し細く、光る矢(箭)に見えれば「銀箭(ぎんせん)」。見た目の直径サイズにもこだわります。
矢があるなら、弾だって。「雨飛(うひ)」は、「風に吹かれて弾丸のように飛んでくる雨粒」と「雨のように降ってくる弾丸」などの様子を表す言葉です。
「白雨(はくう・しらさめ)」は、雹(ひょう)のことも指し、まわりが白くなって見えないほどの大粒の激しい雨のこと(葛飾北斎『山下白雨』が有名ですね)。そして「太い雨脚や地を叩くしぶきに、薄れた雲間から日が差して白く見えるような雨」だといいます。この図を皆で共有して頭に浮かべ、呼び分けてきたなんて・・・日本人の感性、すごすぎませんか。