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七十二候「大雨時行(たいう ときどきに ふる)」。雨に名前をつけるなら 2016年08月03日

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七十二候「大雨時行(たいう ときどきに ふる)」。雨に名前をつけるなら 2016年08月03日

雨あがりのプレゼント

雨あがりのプレゼント

「大雨時行(たいう ときどきに ふる)」。大雨が時々降る時季です。遠い夏休み、プールの帰り道ではしばしば夕立にあいました。はじめから濡れている頭にバスタオルを被り、走って帰った思い出があります。関東ではここ数日、まさに「大雨時行」。そこにはなぜか、昔のようなのどかさは感じられないような? あの頃の「夕立」は、近年多発している『ゲリラ豪雨』とは別のものだったのでしょうか。夏の雨を調べてみたら、なんとすてきな名前がいっぱいでした! 

涼を呼ぶ夕立。雨には呼び名がいっぱい

篠竹の束。降ってきたら痛そうです

篠竹の束。降ってきたら痛そうです

夕立(「ゆうだち」または「ゆだち」)は、積乱雲によって突然降りだす大雨のこと。夏の季語になっていて、昼過ぎから夕方頃にかけて降ることが多いようです。昔から夕立は「馬の背を分ける」とか「馬の背の片側には降らない」などと言われ、びしょ濡れになって電車に乗ると次の駅では晴れていた、というような局地的な降りかたをします。

古くは万葉集にも登場する夕立。
「夕立ちの雨降るごとに 春日野の 尾花が上の白露思ほゆ(夕立が降るたびに、春日野のススキに下りた白露を思う)」
などと、人にものを思い起こさせるアイテムともなりました。

夏のにわか雨には、いろいろ呼び方があるようです。
急に降ってきてカサがなく(または開く暇がなく)、ヒジをかざしてガードするから「肘笠雨(ひじがさあめ)」などと呼ばれることも。
篠竹(しのだけ。群生する細い竹です)を束ねて突き刺すように降るから「篠突く(しのつく)雨」。光って見えるから「銀竹(ぎんちく)」。勢いよく降りしきる雨の直線は、真っ直ぐな竹に似ているからでしょうか。もう少し細く、光る矢(箭)に見えれば「銀箭(ぎんせん)」。見た目の直径サイズにもこだわります。

矢があるなら、弾だって。「雨飛(うひ)」は、「風に吹かれて弾丸のように飛んでくる雨粒」と「雨のように降ってくる弾丸」などの様子を表す言葉です。
「白雨(はくう・しらさめ)」は、雹(ひょう)のことも指し、まわりが白くなって見えないほどの大粒の激しい雨のこと(葛飾北斎『山下白雨』が有名ですね)。そして「太い雨脚や地を叩くしぶきに、薄れた雲間から日が差して白く見えるような雨」だといいます。この図を皆で共有して頭に浮かべ、呼び分けてきたなんて・・・日本人の感性、すごすぎませんか。 

ゲリラ豪雨に似た?こわい雨はこう呼ぶ!

名前が危機感を表現!

名前が危機感を表現!

現在、定番になっているのが「ゲリラ豪雨」。いきなり呼び名に風情がなくなっていますが、それだけ危険で恐ろしい雨ということかもしれません。
日本各地にある「こわい系にわか雨」は・・・

群馬県の沼田市などで聞かれる「山賊雨」。おお、「ゲリラ豪雨」に近い響きです。
田んぼで稲を刈り取っていると、遠くで稲光が。まだ大丈夫と思っていても、三束も作らないうちに激しい雷雨! で、三束を音読みすると「さんぞく」・・・って、まさかのダジャレでしたか! ちなみに、ご飯やお茶漬けを三杯食べないうちにやってくるから「三杯雷」という地方もあるそうです。

長崎県南高来郡では「婆威し(ばばおどし)」。夕立がきたときに何か干していたら、今でも主婦(主夫)は大慌てですよね!
東京都八丈島では「脅し雨」と呼ぶそうです。
ところで、雷よけのおまじない「クワバラクワバラ」(若い方はご存じかどうか)の意味は、「菅原道真の領地・桑原には雷が落ちなかったのにあやかって」「桑畑のような低い茂みに避難しなさいという先人の知恵」等々、諸説あるようです。

雷をともなって降る雨はことさら恐ろしいものですが、「雷雨」とは、ゴロゴロ!という「音」を強調した呼び名なのだそうです。じゃあ、ピカッ!の「光」を強調したいときは? なんと「電雨(でんう)」という呼び名がちゃんとあるのです。
それなら「水」も? お洗濯するみたいにみんな洗い流してしまうほど降る雨を、「雨濯(うたく)」と呼ぶそうです。さらに、山形県西置賜郡には、 洪水になるほどの大雨を表す「大抜け」という言葉も。バケツの底どころではなく、空がぬけてしまうのですよ(怖)。 

恵みの雨に名前をつけて感謝します

雨粒はいつも可憐ですね♪

雨粒はいつも可憐ですね♪

「春雨」なら知っているけど「夏雨」は初耳?そんな方も多くいらっしゃるのでは。「なつさめ」または「かう」と読み、日照りを癒す恵みの雨とされています。
「夏雨人に雨(ふ)らす」という諺は、夏の雨が涼をもたらすように、苦しみのさなかの人に恵みをもたらす、という意味。
「旱天の慈雨(かんてんの じう)」は、日照り続きだったところへ降る恵みの雨。ここから、困難なときに救いに恵まれること。また、待ち望んでいたものがかなえられること。

「慈雨」「喜雨(きう)」「錦雨(きんう)」。農家にとっては、夏に日照りが続けば、せっかく植えた作物が全滅してしまいます。雨乞いをし待ちわびて、ようやく訪れた恵みの雨に、人々は名前で感謝を表現したのですね。
待ち望んだ雨が降ると、近隣が寄り合って「おしめり休み」「雨遊び」「雨祝い」「雨喜び」などで喜びを表す風習が、いまも各地に残っているといいます。

呼び名を通してさまざまな雨の個性と交わってきた、日本人。こんど雨が降ったら、ぴったりの名前を考えて雨にプレゼントしてみるのはいかがでしょう。そしてふだんの災害対策も忘れずに、雨とよい関係でいたいですね。
「ゲリラ豪雨」も、やがて人との関係が進化したとき、すてきな名前で呼ばれているかもしれません。

https://www.wowapp.com/w/kaoru.ikeda/Kaoru-Ikeda

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