ショウブさんの花。まさかの穂状です
アヤメ、カキツバタ、ハナショウブ。
初夏から梅雨に咲く紫の花は、なぜこんなに区別しにくいのでしょうか。それは、姿かたちが似ている以上に、名前がと〜ってもまぎらわしいから!!
そもそもアヤメ科の花はひとまとめに扱われがちだったといいます。
ショウブ(端午の節句でおなじみですね。香りが強くて薬効成分がある草です)は、古くから「あやめ」「あやめ草」と呼ばれていました。そして葉の形が似ているアヤメは「花あやめ」と呼ばれたり「菖蒲(あやめ)」と表記されたりし、しばしば混同されてきたのです。カキツバタは、花の色(青紫)を染料として布などに書き付けた「書付花」がなまったものともいわれます。
そこへさらに、ハナショウブが登場・・・え? 「ハナショウブ」って、「ショウブの花」ですよね?!
そんな予想を軽く裏切り、なんとハナショウブはショウブの花とは全くの別物だったのです!
野生の「ノハナショウブ」を原種として改良された日本産の園芸植物、ハナショウブ。花が美しくて、葉がショウブに似ている(←またこれです)から、この名に。
漢字で『花菖蒲』と書き「はなあやめ」とも読むなんて、ややこしいことこのうえありません。ハナショウブやカキツバタをアヤメと呼ぶ習慣が一般的に広まっていることもあり、この花を愛でるために「あやめまつり」が開催されたり、名札に「かきつばた」と書かれたりと、いまもなお混乱中です。
一方ショウブはサトイモ科で、紫でも華やかでもない花を咲かせます。ちなみに、ハナショウブの葉をお風呂に入れても薬効はないそうです、念のため・・・。
じつはアヤメ、カキツバタ、ハナショウブは、開花時期がずれています。
アヤメは、 5月上旬〜中旬頃。
カキツバタは、 5月中旬〜下旬頃。
ハナショウブは、5月下旬〜6月下旬頃。
関東地方では5月中旬に「アヤメの遅咲き」「カキツバタの最盛期」「ハナショウブの極早咲き」が同時に見られます。少しずつ重なりながら交代し、ずーっと咲いているように見えていたのですね!