忍者ブログ

Utsuke Bron

タラバガニはカニじゃない !? 名前に 「カニ」 がつくけど、ヤドカリの仲間だったなんて…。

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

コメント

ただいまコメントを受けつけておりません。

タラバガニはカニじゃない !? 名前に 「カニ」 がつくけど、ヤドカリの仲間だったなんて…。

3月26日に北海道新幹線が開業しました。この機会に新幹線で函館に行って、新鮮な魚介類を食べたい!! 特に、カニ。大きなタラバガニの脚を豪快にパクッと食べたい!! と思っている方も多いのでは。ところが、このタラバガニ。名前に「カニ」とはつくものの、本当はカニではなく、ヤドカリの仲間なのです。それを知ってから全身像を見てみると、あれ、やっぱりカニじゃない…。

タラバガニの旬は1年に2度。4~6月は産卵のため沿岸に上がり、身が甘い !!

タラバガニといえば、寒い冬を思い浮かべます。鍋を囲んで大きな脚をパクッ!! と食べたいですね。タラバガニの身入りがもっともいいのは11~2月で、旬は冬です。この時期のタラバガニは海の深いところにいます。脱皮後の殻が完全に硬くなり、エサをたくさん食べているので、身がぎっしりと詰まっています。深海にいるので冬に獲れるタラバガニは数が少なく貴重品ですが、味が濃く、おいしいといわれています。
では、春は旬ではないかというと、そうでもありません。オホーツク海の流氷が沿岸から去り、海が明ける春になると、タラバガニは産卵のため、深い海から浅場に上がってきます。このため収穫しやすく、収穫量全体の大半がこの時期に集中します。このころから甘みが増すので、4~6月もタラバガニの旬といえます。
国産のタラバガニは北海道の稚内市でわずかに獲れるだけで、ほとんどはロシアなどからの輸入に頼っています。しかし、ロシア産だからといって極端に味が落ちるわけでもないようです。ただし、タラバガニのカニ味噌は味が悪く、普通は食べません。というより、カニ味噌自体がほとんどありません。高い金額でまるごと1匹を買ったとしても、結局はミソの部分は食べないので、買うときは、実際に食べる脚だけを買ったほうがお得です。

タラバガニはヤドカリ !? カニじゃないのか !! 名前に 「カニ」 がついているのに…。

ヤドカリ、ちっちゃい。でも、タラバガニとは仲間どうし。

ヤドカリ、ちっちゃい。でも、タラバガニとは仲間どうし。

タラバガニは十脚甲殻類で、大きなハサミが1組と、脚が4組、合わせて5組の10脚を持ちます。十脚甲殻類をエビ、カニ、ヤドカリに分けた場合、タラバガニは見た目はカニですが、ヤドカリの仲間に含まれます。ヤドカリの仲間は、一番後ろにある4番目と5番目、または5番目の脚が極端に小さいのが特徴です。タラバガニの5組目の脚にいたっては、さらに小さく、しかも、いつも甲羅に隠れているので、ハサミを合わせて脚が4組しかないように見えます。しかし、隠れている5番目の脚はエラの掃除をするという、重要な役割を担っています。
ヤドカリは貝殻を背負っているので、一見するとタラバガニとはまったく違う姿ですが、ヤドカリを貝殻から出して詳しく見てみると、カニとは違う特徴が見られます。まず、4番目と5番目の脚が小さいこと。後ろの2対4本の脚は歩くのに使われるのではなく、貝殻の中のゴミをかき出すのに役立っています。タラバガニの5番目の脚も小さく、甲羅に隠れていて、エラを掃除する役割があります。次に、ヤドカリの腹部はやらかく、右にねじれています。これは貝殻に入りやすいようにねじれているものですが、タラバガニのメスの腹部も右にねじれています。また、カニは横向きにしか歩けませんが、ヤドカリは貝殻を背負って前に向かって歩くことがきます。タラバガニも同様に、縦向きに移動することができます。

タラの漁場で獲れるから 「タラバ」 ガニ。脚がもう一組あっ「“たらば” カニ」、の 「タラバ」 ではありません。

タラバガニは5番目の脚が極端に小さいので、4組しかないように見える。

タラバガニは5番目の脚が極端に小さいので、4組しかないように見える。

ある人は以前から、タラバガニはカニではなく、ヤドカリの仲間であることは知っていました。しかし、「タラバ」の意味が「タラの漁場(鱈場・たらば)」であるとは知らず、ずっと、脚がもう1組「あっ“たらば”」カニ、という意味で、「タラバガニ」だと信じていたそうでうす。「タラバ」という言葉を、そんな意味でとらえる人なんて、日本全国、この人だけだと思いますが…。
実際のタラバガニは、鱈場にいるとはいえ、エビやヒトデ、ゴカイ、死んだ魚などをエサとしています。大人になるまで10年。寿命はおよそ30年と、けっこうな長生きです。
プロレタリア文学の傑作「蟹工船」(小林多喜二著)では、大正時代、タラバガニの缶詰を船上で作るカニ漁の過酷さが描かれましたが、そのころはタラバガニも豊富に生息していたようです。しかし、乱獲により生息数が激減し、今では日本とロシアで協定が結ばれ、カニ漁は規制がなさかれています。

花咲(はなさき)ガニもヤドカリの仲間。タラバガニとよく似たアブラガ二もヤドカリ。

花咲ガニもヤドカリの仲間。見える脚は4組。

花咲ガニもヤドカリの仲間。見える脚は4組。

花咲ガニは北海道の根室周辺でしかとれない、珍しいカニですが、これもヤドカリの仲間です。全体像を見るとわかるように、脚が4組しかありません。わりと大型で身入りがよく、甘みがあり、濃厚な味わいです。花咲ガニも4月下旬から産卵期に入ります。釧路では3月中旬~7月いっぱいにかけて、根室では7月~9月にかけて漁獲されますが、旬は7月から。漁獲量が少ないので、「幻のカニ」とも言われます。
また、タラバガニによく似たアブラガニも、ヤドカリの仲間です。かつては、アブラガニをタラバガニと偽装して販売するのが問題になりましたが、アブラガニの味は、むしろタラバガニよりもおいしいという人がいるくらいのおいしさです。アブラガニとタラバガニを見分けるのは素人では難しいようですが、甲羅やツメのトゲが違うなど、よく見れば明らかに違うそうです。

北海道で食べるカニといえば、大きな脚のタラバガニと、ミソもおいしい毛ガニが代表的です。毛ガニは5番目の脚もしっかり見える、正真正銘のカニですが、タラバガニは名前に「カニ」がついているのに、ヤドカリの仲間だったとは…。とはいえ、タラバガニの脚に豪快にかぶりつくのは、大きな脚だからこそできる楽しみです。カニだろうがヤドカリだろうが、おいしいものはおいしい!!
4月に入り、北国もようやく春めいてきました。タラバガニの産卵も始まりました。函館の桜の開花予想は4月23日、稚内や根室は5月上旬です。4月下旬以降の北海道は、桜が咲き、タラバガニがおいしい季節です。おいしいタラバガニが待つ北海道で、遅い春を楽しんでみませんか。

拍手[0回]

PR

コメント

プロフィール

HN:
kaoru ikeda
性別:
非公開

カテゴリー

最新記事

(10/21)
(10/19)
(10/18)
(10/17)
(10/14)

P R