御家流はこの和様書体が江戸時代にさらにパターン化され、広く書かれるようになったものです。
勘亭流はこの書体をデフォルメして、看板の文字が遠目からもはっきり見えるように太く強調してデザインされたのが勘亭流です。
こうした芸能社会の周辺でデザインされた書体は、ほかにも寄席文字、相撲文字といったものがありますが、勘亭流に似ているものの、それぞれ少しずつ細部の特徴が異なっています。
江戸時代には特定の社会に属する特定の書体が存在していたのですね。
ただ現在では、たとえばペットボトルのお茶の商品名など、「和風」をアピールしたい場合には勘亭流風のフォントが使われることが多いようです。
どのような書体でももともとは歴史的な背景があります。デジタルフォントでも同様です。
書体を歴史的に観察すると、ポスターや本のデザインがより楽しめるようになるのではないでしょうか。