おいしいサツマイモの産地として江戸時代から知られていた川越
さらに、サツマイモのことを「十三里」と呼ぶこともあります。
庶民の間に広く普及したサツマイモは、蒸しイモ、茶巾イモなどさまざまな調理方法が生まれ、唐茄子(とうなす。かぼちゃのこと)と並んで、女性の好きな食べ物と言われるようになりました。
寛政年間(1789~1801年)には、「八里半」と書かれた行燈(あんどん)をかけた焼き芋屋も登場します。八里半というのは、「九里(くり)」に近い、つまり「栗」に近いという言葉遊びで、栗のようにおいしい味、という意味です。
しかしその後、対抗して「十三里」と書いた行燈を出す焼き芋屋が登場しました。
「十三里」というのは、おいしいサツマイモの産地として知られていた川越までの距離が江戸からちょうど十三里(約52キロメートル)だったことと、「九里」と「四里」を足した合計「十三里」をかけて、「栗(九里)より(四里)うまい」という意味を込めたと言われています。このしゃれが広まり、サツマイモのことを十三里というようになったそうです。
我が家でも人気のサツマイモですが、ただおいしいだけじゃなくて、もしもの時の大切な食料でもあったんですね。
ちなみに、あさって10月13日は「さつま芋の日」。旬の季節である10月に、「十三里」をかけて、この日が選ばれたそうです。