ねっとりとしたバンコクの熱い空気の中で、のんびりした、どこかあか抜けない、そして何だか懐かしく響く音楽。
それが「プレーン・ルーク・トゥン」(「田舎育ちの子」という意味で、「プレーン」は歌の意味)です。
タイは長い歴史を持つ国ですから、伝統的な楽器を使って伝統的なスタイルで演奏される音楽も存在します。
それらはおもに中国やカンボジアの強い影響を受けているようです。西欧のポップスやロックと変わらないフォーマットのバンドロックやアイドル歌謡もたくさんあります。
一方で、ルーク・トゥンは日本の一昔前の歌謡曲のような雰囲気、コブシの効いた節回し、何となくあか抜けないアレンジを特徴とした、タイの民衆にもっとも浸透している大衆歌謡です。
1950年代にタイの古典音楽や民謡をベースにしてアメリカのジャズやカントリー、ラテン音楽などの影響を受けてバンコクあたりで生まれ、流行歌化し、次第にそのスタイルが定着してきたとされています。
その後、電気楽器の比重も高くなり、音楽もロック調になったり、80年代にはタイ東北部イサーン地方の伝統音楽の要素が取り入れられるなど、変化しています。