的確な行動を取れるよう普段から防災意識を高めましょう
甚大な被害を出した東日本大震災では、
「大地震の混乱もあり、すぐに避難できなかった」
「あれほど巨大な津波が来るとは想像できなかった」と思った人がたくさんいらしたことが、のちの報道によって明らかになりました。
そう話していた人々が住む地域には、大型防潮堤等の水防施設が設置されていた……、
また10m超の津波を経験した人がいなかった……などの様々な要因があり、迅速な避難行動が取れなかったことも事実です。
よって、一概に「いち早く行動を取れるか」「危険に鈍感になっていないか」を明確に線引きできない部分もありますが、緊急事態下で的確な行動を取れるか否かの明暗を分けうる「正常性バイアス」の働きを、過去の災害が示唆する教訓として、私たちは理解しておきたいものです。
また、今回の熊本の地震の際にも同じような心理が働いていた可能性があります。
14日の夜に起きたマグニチュード6.5の大きな地震で屋根瓦が飛んだり、家が傾むくなどの危険な状態に接しても、「もう落ち着いただろう」「大丈夫だろう」(=正常性バイアスの働き)という意識が働いた方も多かったようです。
さらに、家屋が通常通りだったことと、停電が復旧したことから、自宅での就寝を選択され、16日未明に発生したマグニチュード7.3の「本震」に見舞われた方が多かったことも明らかになっています。
様々な要因が重なり、想定外の事態を引き起こす災害ですが、災害に直面した当事者にしかわからない「正常性バイアス」は、予想外の大きなチカラで人々の行動を制するのです。
そのため過去の事例からも、地震、洪水、火災などに直面した際、自分の身を守るために迅速に行動できる人は、“驚くほど少ない”ことが明らかになっています。