この時期、山や公園、庭など、身近なところで南天が赤い実をつけています。葉が赤く色づいている南天もあります。また、季節が進み冬になっても、南天の実は残っているので、白い雪と赤い実の美しいコントラストを目にすることもあります。このように、秋を彩る南天の実は、私たちの暮らしにあまりにも身近な存在です。
南天というと、のど飴としてなじみが深いですが、もともとは平安時代に中国から伝えられ、古くから咳止めの薬として用いられてきました。最近の研究によると、南天の実に含まれている「ナンテニン」や「ヒゲナミン」という成分が気管を拡張し、苦しいセキが楽になる、ということがわかってきました。
薬以外では、「ナンテン」という言葉の響きから、「難」を「転」じる「難転」ということで、縁起のいい木としても愛されています。戦国時代には勝利を祈る木として使われ、また江戸時代には火災よけや魔よけとして庭に植えられていました。七五三や初節句などの祝い事では、厄よけとしてお赤飯に添えられたり、家紋にも使われています。身近なところでは、福寿草とともにお正月の花としても用いられています。
〈参考サイト:常盤薬品「南天研究所」〉