江戸時代の千両は、今の価値で8万〜10万円
ところが、季節は真夏。
冷蔵庫などない時代ですから、冬が旬のみかんなどあるはずもありません。そのことに、やっと気がついた番頭。
みかんが見つからず、息子がもし亡くなってしまったら、「お前は主人殺しだ」と旦那に脅かされることは間違いありません。
そこで番頭は、夏の町にみかんを探しに出かけます。
フラフラになるまで探しても、みかんはみつかりません。
困り果てた番頭は、ようやく神田の果物問屋にたどり着きます。
すると、果物問屋は腐るのを承知で、上物のみかんを何箱も蔵の中に貯蔵していたのです。
箱を開けると、案の定みかんはみな腐っていますが、その中にひとつだけ傷んでいないみかんがあったのです。
ところが、そのみかんひとつの値段がなんと千両!
店の旦那に報告すると、「息子の命が千両で助かるなら安いこと」と、ふたつ返事でみかん一つに千両を払います。