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Utsuke Bron

「別府アルゲリッチ音楽祭」閉幕!音楽に込めた支援の力

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「別府アルゲリッチ音楽祭」閉幕!音楽に込めた支援の力

アルゲリッチ音楽祭のプログラムとパンフレット

アルゲリッチ音楽祭のプログラムとパンフレット

九州南部(奄美地方を除く)、九州北部、中国、四国地方が続々と梅雨入りし、着実に季節はめぐっていますが、4月に熊本と大分で相次いで発生した地震から1カ月半が経ちます。
災害の影響にもめげず、予定通り開催された「別府アルゲリッチ音楽祭」をご存じでしょうか。
世界最高と評されるピアニストのひとり、マルタ・アルゲリッチと仲間たちが大分県・別府で妙技を聴かせる音楽祭は今年で18回目を迎え、5月1日~26日までのプログラムは好評のうちに閉幕しました。
音楽祭に込められた思いと、その力をご紹介します。 

「別府の奇跡」とも呼ばれる音楽祭とは?

「東京ではなく、なぜ別府なのですか?」
1994年、音楽祭の開催場所について質問されたアルゲリッチは「キョウコがいるから」と答えました。
キョウコとは別府在住のピアニスト伊藤京子のこと。
親交のあった二人はその頃、聴衆と一緒に音楽家が育っていけるような音楽会を企画していました。折しも国際的な催しで世界発信を願っていた別府市長が、伊藤を通じてアルゲリッチに協力を要請。快諾を得られたことから「別府の奇跡」が始まったのです。

まず、プレコンサートが企画され、1995年、アルゲリッチのソロ・リサイタルがバルトークの組曲作品14の軽快な舞曲で幕を開けました。
その後、プレコンサートは小澤征爾、ギドン・クレーメルなど世界的な音楽家を招いて3年間続き、1998年に第1回の音楽祭が開催されました。
音楽祭の正式名称「Argerich’s Meeting Point in Beppu~アルゲリッチの出会いの場~」には、「人が出会うことで多くのことが変わり、未来が開ける、幸せな出会いを多くの人々へ」という思いが込められています。 

注目のコンサートが目白押しとなった音楽祭

羽田空港内に掲示された音楽祭のポスター

羽田空港内に掲示された音楽祭のポスター

今年の音楽祭は5月1日(日)、大分県出身の若手演奏家13人によるコンサートで開幕(会場はビーコンプラザ・1Fコンベンションホールに変更)。若々しく生気みなぎる演奏が披露されました。

5月7日(土)には、「アルゲリッチ ショスタコーヴィチを弾く」と題されたオーケストラ・コンサートが開かれ(ビーコンプラザ・フィルハーモニアホール)、満員の会場からは、アルゲリッチの弾く力強いショスタコーヴィチのピアノ協奏曲第1番 ハ短調 作品35に、拍手が鳴りやまなかったといいます。
また、広島交響楽団もベートーヴェンの交響曲第7番 イ長調 作品92その他を演奏し、平和と音楽のあり方を考えるプログラムも話題となりました。

5月14日(土)は、ロシアのヴァイオリニスト、ワディム・レーピンをゲストに迎え、ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ第9番 イ長調 作品47「クロイツェル」、プロコフィエフのヴァイオリン・ソナタ 第2番 二長調 作品94他が演奏されました(大分市・iichiko総合文化センター)。
アルゲリッチとレーピンによる日本初の二重奏。白熱した演奏は感動もので、遠方から駆けつけたファンも大いに魅了されました。

そして、なんといっても今年の目玉は、5月23日(月)に催された「ピアノと朗読で贈るスペシャルコンサート」(しいきアルゲリッチハウス・サロン)。

初めにアルゲリッチと伊藤京子でモーツァルトを、次いで、ヴァイオリンの清水高師、チェロの向山佳絵子の共演でラヴェルが演奏されました。
ラストはアルゲリッチの愛娘アニー・デュトワと平野啓一郎が仏語と日本語でフランスの詩を朗読、アルゲリッチのソロでラヴェルの「夜のガスパール」が演奏されたのです。
満席の観客は総立ちで拍手喝采。150席の小さな会場でアルゲリッチの独奏が聴けるとは、まさに夢のようでしょう? 

別府は温泉力日本一!東京公演にも注目!

東京の会場に設置されていた募金箱

東京の会場に設置されていた募金箱

基本的に別府と大分で催される音楽祭ですが、1回だけ東京でも音楽会が開かれました。
5月17日(火)に行われた「アルゲリッチ ベートーヴェンを弾く」(東京オペラシティコンサートホール)。
昨年の音楽祭で好評を博した高関健の指揮する紀尾井シンフォニエッタ東京との共演によるベートーヴェンのピアノ協奏曲 第2番 変ロ長調 作品19 その他による魅惑のプログラムです。

東京に居ながらにして音楽祭の雰囲気が味わえると会場は満席。
しかも、この夜は皇后陛下にご来臨賜り、明るく華やかな雰囲気の公演となりました。
アルゲリッチのピアノは内に秘めた情熱がほとばしる熱演で、ホールは割れんばかりの拍手の渦。熱狂する聴衆に応えて、アルゲリッチがソロで弾いたアンコール曲は、スカルラッティのソナタ ニ短調 K.141=L.422です。
プログラムを販売していたブースには熊本・大分地震のための募金箱がそっと置かれていたのが印象的でした。

── アルゲリッチ音楽祭が開かれる別府は、日本で一番の源泉数と湧出量を誇る温泉のまち。近くにはアルゲリッチがこよなく愛する湯布院もありますが、今回の熊本地震の影響で宿泊客のキャンセルが相次ぎ、まちは開店休業状態といってもおかしくない日々が続きました。

そんな中で開催されたアルゲリッチ音楽祭。
「こういう時だからこそ、開催を!」と決意を持って来日したアルゲリッチの思いは音楽祭での圧倒的な演奏を通じて、熊本や大分の人々を魅了し、支援したといえるのではないでしょうか。

このたびの「平成28年熊本地震」で亡くなられた方々にお悔やみ申し上げますとともに、被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。 

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