『回想法』とは、アメリカの医師ロバート・バトラー(1963)によって提唱された心理療法。昔懐かしい生活用具などを用いて、かつて自分が経験したことを楽しみながら皆で語り合うことによって、 気持ち(心)を元気にするというものです。
なつかしい物や映像を見て思い出を語り合うことは、脳を活性化し精神状態を安定させ、長く続けることで認知症の進行予防やうつ状態の改善に役立つといいます。
現在とりいれる自治体や介護施設が増えていて、愛知県北名古屋市では「昭和日常博物館」(歴史民俗資料館)が収蔵する昭和時代の生活用具や玩具などを用いて、地域の高齢者の認知症予防や心理療法、リハビリテーションに活用しています。
そのときにポイントとなるのが、「10歳~15歳の記憶」。
食事・排せつ・入浴・移動・寝起きなど、日常生活を営むうえで普通におこなっている行為を『ADL(Activities of Daily Living。日常生活動作)』と呼び、これができるかどうかが介護の必要性の分かれ目になっています。その「ADL記憶」は 10歳~15歳の記憶の中に含まれているため、当時の記憶を失うと、ADLが維持できなくなるのだそうです。
逆に 10歳~15歳の記憶」が鮮明なら、日常生活能力が維持できると考えられているのですね。