中原中也といえば、多くの人が国語の教科書などに載った黒いソフト帽子をかぶりおかっぱ頭で目がくりっとした、ちょっと子供のような顔写真をよくおぼえているのではないでしょうか。いかにも私たちが「詩人」という言葉で脳裏に思い浮かべる浮世離れした妖精のようなその容貌。
そんな中原が30歳の若さで夭折したのは、昭和12年(1937年)の秋、10月22日のこと。
死後80年近くが経った今でも、その不思議な魅力をたたえた詩はなお多くの若者たちの心を捉え、アニメや漫画などにキャラ化して登場し、日本でもっとも名の知られた詩人の一人となっています。でも現代の名声と裏腹に、生涯たった二冊の詩集しか出さず、ほぼ「無名」のままに亡くなった不遇の詩人でした。