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Utsuke Bron

時代を超えて白州を支える "ジャパニーズ・クラフトマンシップ"

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時代を超えて白州を支える "ジャパニーズ・クラフトマンシップ"


1973年の設立以来、40年以上にわたってウイスキーづくりが行われている白州蒸溜所。そこで、時代を超えて受け継がれている「ものづくりの精神」について迫りたいと思います。日本、そして世界から愛されている白州の爽やかな味わいは、つくり手のどんな想いによって生み出されているのでしょうか。白州蒸溜所の小野工場長にお話を聞きました。

自然と職人のこだわりが生むウイスキー。

時代を超えた職人魂が込められた白州。

白州蒸溜所の蒸溜釜の形状は様々。

美味追求のため変化を恐れず進む
蒸溜所周辺の自然環境は、「シングルモルトウイスキー白州」の味わいに深く関係しています。花崗岩に磨かれた天然水がスッキリとした味わいを、寒暖差の大きな気候が深い熟成感を生み出しています。そのような環境のなか、"この味を守っていくのに一番大切なこと"は何か、と小野氏に尋ねたところ、意外な答えが返ってきました。
「まず初めにお伝えしたいのは、私達は、"味を守る"というスタンスで働いていないということです。守るという言葉には、"既に出来ているもの"を大事に保つという意味合いがあります。白州は既に出来ているものではなく、永遠に進化の途上にあると考えているので、守るという表現を私達は使いません。私達が大切にしているのは、"コンティニュアス・イノベーション"。常に未完成と考え、革新を続けるという意味です。革新こそが、美味しいウイスキーを生み出すこと、進化へ繋がる唯一の道と信じています」
では、白州蒸溜所では、現在までにどのような革新が行われてきたのでしょう。
「大きな革新のひとつは、1981年に現在の主要設備を導入したことでしょう。1973年に稼働したそれまでの設備は、ウイスキーの旺盛な需要に対応した、いわば"大量生産型"でした。当時はウイスキーの需要が伸び続けている時期だったのです。
そして10年後、ウイスキーの売上は過去最高を記録します。そんな折、現在の主要設備を稼働させたのです。特徴は、量ではなく質に焦点を絞った原酒をつくるための釜という点です。質を求めると生産効率は落ちます。ウイスキー需要が頂点を謳歌する時代の中で、将来を見据え原酒づくりの考え方を大きくシフトさせたのです。ご存じのように、ウイスキーをつくるには何年、何十年という長い年月がかかります。10年後、20年後がどうなるかわからない中、"世界最高品質を追求すべきだ"という、自分たちの信念に賭ける"英断"だったと思います。ウイスキーづくりは、"未来の可能性を信じる仕事"と言えるかもしれません」

"日本人"が生み出すウイスキー
それでは、ほかにも革新的な出来事があればお聞きしたいのですが。
「蒸溜釜に直接火を当てる"直火加熱式"を採用しているのはいい例でしょう。直火加熱式は火力の調整が難しく、日本国内はもちろん、本場スコットランドでも最近は少なくなりつつある伝統的製法です。しかし、多くの香味成分が豊富に生まれるため、我々としてはどうしても挑戦したかった。そこで試行錯誤を重ねて直火加熱式を復活させたのです。
同じように木桶の発酵槽もステンレス槽に比べて管理が難しいのですが、あえて採用しています。それは森の乳酸菌が木桶だからこそ棲みついてくれて、仕上がるもろみに爽やかな酸味と華やかな香りをつけ、最終的に美味につながるからです」

より良いウイスキーをつくるには、伝統的な製法が向いているということなのでしょうか?その反面、手間もかかると思うのですが。
「誤解してほしくないのですが、ただ闇雲に伝統製法に回帰しているわけではありません。美味を追求するためには何が必要かを考え、そのために伝統製法を復活させる必要があるなら、手間がかかり効率が落ちても採用します。そこに最新技術も取り入れることで、伝統製法をさらに進化させています」
常に美味を探求する姿勢には感銘を受けますが、例えば、スコットランドでは各蒸溜所が何十年も製法を変えていないというようなことも聞きます。このことはどうお考えですか?
「どちらが良いということではないと思います。むしろ気質の問題が大きいかもしれませんね。やり方を変えないということは、それはそれで素晴らしいし、尊ぶべきこと。一方、日本人は、剣道や柔道、華道、茶道というふうに、なんにでも"道"をつけてひとつのことを極めようとする精神性を持っていると思います。常に向上と改善を志向し、工夫を重ねる。これは日本人特有の気質であり、それが"ジャパニーズ・クラフトマンシップ"なのかもしれません。白州の職人達も、どうしたら少しでも美味しいウイスキーをつくれるかを常に考え、細部にこだわり、トライアルを重ねています。
これまで話したエピソードも、設備の話をお伝えしたい訳ではありません。すべての基礎にあたる精神性を知っていただきたい。手間ひまを惜しまず、細部にこだわり、試行錯誤する気質。そして豊かな四季のある国で生まれ育ち、変化に敏感である日本人ならではの感覚がそれらの革新をなしているのです。またそれを判断する繊細な舌があってこそ成り立つものであると思います」

世界の権威ある酒類コンペティションで白州はさまざまな賞を受賞しています。

世界が認めた白州のクラフトマンシップ
常に革新を続けるクラフトマンシップに支えられた「シングルモルトウイスキー白州」は、近年、海外でも高い評価を得ています。どのように感じていますか?
「スコッチウイスキーの単なるコピーではない、ということが認められたと感じています。どちらが上で、どちらが下ということではなく、どちらも"本物"だということです。独自の進化を遂げ、唯一無二のアイデンティティを持った新しいウイスキーの形、ジャパニーズウイスキーも "本物"であると世界の人々に納得いただけたのであれば感無量です」
白州が持つ、ジャパニーズウイスキーらしさとは。
「爽やかな味と香り、ほのかなスモーキーさに加え、水や炭酸で割っても、決して味わいが崩れない繊細さという点が挙げられると思います。これは、食後酒としてだけでなく、食中酒としてもウイスキーを飲みたいという日本独自の文化、お客様の嗜好が生んだ進化の一例と言えるでしょう。
つまり、ジャパニーズウイスキー、ひいては「シングルモルトウイスキー白州」は、日本人の繊細な味覚に育てられた面があるということなのですね。
「そういうことになりますね。ウイスキーの発祥・系譜については諸説ありますが、アイルランドやスコットランドで発祥し、そこからアメリカやカナダ、日本などへと広まって行く過程で、それぞれの土地で独自の進化を遂げました。
その土地の気候風土や生活様式、文化はウイスキーの味わいに確実に影響します。繊細さを特長とする日本文化や日本人の味覚が、私達に繊細さを特長とするジャパニーズウイスキーを生み出させたと言えると思います」
世界でこれだけの評価を得たわけですが、それでもなお、白州は変化を続け、進化していくのですか?
「もちろんです。"最高のウイスキーはこれだ"というものはありません。世界最高レベルのウイスキーを追い求め、常にリファインメントを重ねていますが、終わりはありません。我々が未来へ受け継いでいくべきは、ものづくりに向き合う姿勢そのもの。繰り返しになってしまいますが、常に"未完成"であることを意識し、挑戦を続ける精神なのです。」

未来へ受け継いでいくもの
小野氏は「現場での改善こそが日本のものづくりの原点」だとおっしゃいます。変わり続ける時代の中、今ある製品を、少しでも良くしようという気持ち。そのためには細部に決して手を抜かず、労を惜しまず、一途に努力を続けていく。この"ジャパニーズ・クラフトマンシップ"が、白州蒸溜所全体に、一人一人に貫かれていることが、いままでと今回の取材を振り返り、強く感じました。
もしかしたら、今つくっている原酒が「シングルモルトウイスキー白州」として世に出るのを、生きているうちに自分の目で見ることはできないかもしれない。それでも次の世代の職人にその精神と生まれたものを託そうと、数十年後の未来を見据え、立ち止まらずに前へ進み続ける。ウイスキーづくりは、時代を超えた職人同士が、未来を信じた職務の積み重ねであると気付かされました。
なにより、志と気概を持って仕事に取り組む職人の話は感動的でした。この精神が連綿と受け継がれているからこそ、「シングルモルトウイスキー白州」は時代を超え、国境を越え、多くの人を惹きつけてやまない美味さを提供していくのでしょう。

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