広島の原爆ドーム
俳句だけではありません。短歌の作品もご紹介します。
原爆とふ死の灰とふ嘆くべき詞消えざらんわが国語辞典に 佐佐木信綱 ※3
白い虚空とどまり白き原子雲そのまぼろしにつづく死の町 近藤芳美 ※3
幾千の人のすみとほる聖歌のこゑ被爆の壁を祭壇として 木俣 修 ※3
木俣氏の歌には、「長崎浦上天主堂の原爆記念日の夜の弥撤を詠む。」と添えられています。
今年は5月に、オバマ大統領が現職のアメリカ大統領として、初めて被爆地・広島を訪問。広島市の平和記念公園で原爆死没者慰霊碑に献花し、広島と長崎を含む第二次世界大戦のすべての犠牲者らに、哀悼の意を示すスピーチを行いました。そしてオバマ大統領自らが折ったという折り鶴は、寄贈された広島平和記念資料館で、9日から8月末まで公開されます。
改めて、世界が平和に向かうことを願って止みません。
広島忌平和の鐘を撞く少女 吉田未灰 ※4
折鶴にいのち吹き込む原爆忌 平岡しづこ ※4
<引用と参考文献>
※1 宇多 喜代子 (編集), 中原 道夫 (編集), 片山 由美子 (編集)『読んでわかる俳句 日本の歳時記 秋』小学館 (2014)
※2 角川学芸出版 (編集)『角川俳句大歳時記「秋」』角川書店 (2006)
※3 飯塚書店編集部 (著)『短歌表現辞典 生活・文化編』飯塚書店 (1998)
※4 廣瀬 直人 (監修), 松田 ひろむ (編集), 有馬 朗人『ザ・俳句十万人歳時記 夏 』第三書館 (2008)