ホタルブクロ。関東では赤紫色の花が、関西では白い花が多いそうです。
浮世絵にもよく描かれてきた『蛍狩り』。
日本のホタル鑑賞の文化は、世界でも類がないものだそうです。
関東では、ゲンジボタルは5月下旬〜6月中旬、ヘイケボタルは6月中旬〜8月頃に見られます(歴史とは逆に、源氏の後に平家が台頭するようです)。
ゲンジボタルの出現時は、夜間に浴衣ででかけるにはまだ寒い時季なのですが、夏のように蚊がいないので優雅に「光るゲンジ」を鑑賞できそうですね。一方、画中の人物が田などに入ってホタルを追っているなら、それはたぶんヘイケボタル。日本人にもっとも身近といわれてきたホタルです。
少し昔までは、夏祭りの夜などにホタルをつかまえて帰り、蚊帳の中に放してはその光を楽しんだといいます。回避する虫(蚊)と愛でる虫(ホタル)をアミ1枚で分けるなんて、蚊とり器の部屋では真似できない楽しみかたですね。
螺旋状に麦わらを編んだ「ホタル籠」は、なぜか上部の入り口も底もなく、狩りの獲物ホタルがすぐ逃げ出せそうな作りになっています。「一緒につれて帰る」くらいの感覚だったのでしょうか。
子供がホタルを入れて遊んだことからその名がついたという『ホタルブクロ』という花も、もし提灯のようにして確実に持ち帰ろうとするなら、花の先を草などで縛ってふさがなければなりません。けれどなんとなく、たいていはそのまま筒状の花にホタルを入れて、透かしてみたり手で包んだりして、つかの間の光を楽しんだのでは・・・と思えてしまうのです。