【9月の実況】
9月のエルニーニョ監視海域の海面水温の基準値との差は-0.3度で基準値に近い値でした。太平洋赤道域の海面水温は中部で平年より低く、西部で平年より高くなりました。海洋表層の水温は中部から東部にかけて、平年より低くなりました。太平洋赤道域の日付変更線付近の対流活動は平年より不活発で、大気下層の東風(貿易風)は中部で平年より強くなりました。このような大気と海洋の状態は、ラニーニャ現象時の特徴を示しています。以上のことから、ラニーニャ現象が発生しているとみられます。
なお、9月の日本の天候は、ラニーニャ現象時の特徴は明瞭にはみられませんでしたが、世界で見ると、オーストラリア東部の多雨がラニーニャ現象時の特徴に一致していました。
【今後の見通し】
今後、冬にかけては、平常の状態になる可能性もありますが(40%)、ラニーニャ現象が続く可能性の方が高く(60%)なっています。海洋表層の冷水は7月以降中部に見られ、明瞭な東進は見られませんでした。この冷水は今後しばらくの間、中部の海面水温を平年より低い状態で維持するように働くと考えられます。エルニーニョ予測モデルは、エルニーニョ監視海域の海面水温が、今後冬にかけて基準値に近い値か基準値より低い値で推移すると予測しています。以上のことから、今後冬にかけては、平常の状態になる可能性もあります(40%)が、ラニーニャ現象が続く可能性の方がより高い(60%)と予測されます。