横長の器に盛られた、正統派(?)の「プリンアラモード」
もう一つ、謎に包まれているのが「アラモード」と呼ばれる形態のデザートです。
第二次大戦後、横浜の老舗ホテル「ホテルニューグランド」で誕生したといわれる「プリンアラモード」。
GHQに接収され、宿泊するのはアメリカの将校とその夫人たち、という時代。
「アメリカ人向けにボリュームのあるデザートを」と考案されました。
横長の、脚のついた器に盛られるスタイルも、ニューグランドが発祥。
なんと、ニシンの酢漬けを盛るためのお皿を使ったのがはじまりなのだそうです。
この「アラモード」とよく似た(?)形状のデザートが、アメリカに存在します。
その名は「バナナ・スプリット」。
「ボート」と呼ばれる、横長の器に盛られたデザートで、20世紀初頭にペンシルバニア州で誕生したと言われています。
「プリンアラモード」の考案にあたり、ホテルニューグランドのシェフたちは、アメリカの料理学校の教科書を参考にするなどして工夫したそうです。
その教科書に、「バナナ・スプリット」が掲載されていたのかどうか?
想像してみると楽しくなりますね。
この「プリンアラモード」も、日本全国を席巻。
昭和の時代から続く、いわゆる「喫茶店」なら、おそらくどの地方に行ってもこの「アラモード皿」に盛ったデザートがある(あった)のではないでしょうか。
新しいもの好き? 甘いもの好き?
「国民性」という安易な表現は使いたくありませんが、アイスクリームと、それを使った冷たいデザートが、日本の人びとに熱狂的に迎えられ、ごく短期間で定着したのは確かなようです。
美味しいデザートが気軽に楽しめる時代に感謝しつつ……今年の夏は、どんなパフェやデザートをいただきましょうか。