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「うなぎの太鼓」── 太鼓持ちの失敗。うなぎにありついた!はずが…

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「うなぎの太鼓」── 太鼓持ちの失敗。うなぎにありついた!はずが…

7月30日の土用の丑、うなぎを食べましたか?

7月30日の土用の丑、うなぎを食べましたか?

夏真っ盛り。この時期は、やっぱりうなぎですね!
2016年の土用の丑は7月30日の一度だけですが、皆さんはうなぎを食べましたか?
といっても、近年はニホンウナギが絶滅危惧種に指定され、値段もかなり高価。
購入する際に、ちょっとためらってしまう人も多いことでしょう。
そこで、うなぎを堪能した人も、そうでない人も楽しめる、うなぎが登場する夏の落語をご紹介しましょう。 

太鼓持ち・一八

料亭の太鼓持ち

料亭の太鼓持ち

「炎天燃えるばかり」の夏の盛り、真っ昼間「一八」という一人の男が街をさまよっています。

「暑いねえ。どこかでおまんまにありつかなくちゃいけねえ…」
この男は「太鼓持ち」。
現在ではもうほとんどなくなってしまった職業ですが、宴席で客をおだてたり、お酌をしたりして座をとりもつ芸人のことで、別名・幇間(ほうかん)とも言います。
お客についてまわって、お酒をごちそうになり、祝儀をいただくのが仕事です。

太鼓持ちとしては、おなかが空こうとも、自分のお金でお昼ごはんを食べるなどということはしたくないところ。
世話になっている客を訪ねてごちそうになろうと訪ね歩きます。
ところが暑い夏のこととて、客は避暑に行ってしまったりして、「カモ」がなかなかつかまりません。 

うなぎにありついた!はずが…

うなぎ屋

うなぎ屋

すると向こうから近づいてきた客がいます。
「よお、師匠じゃねえか」
一八はたしかに会ったことがあるのですが、誰だかなかなか思い出せません。

でも、せっかく会った客に逃げられてしまっては大変。なんとかとりつくろいながら、客が知っているといううなぎ屋でお昼にありつくことに成功しました。

ところがそのうなぎ屋、あまりきれいでないうえに、出てくるお酒も、うなぎもおいしくありません。
まあ、どっちみち客のおごりなんだし、と一八は、「いやこのうなぎ、口に入れただけで、とろってきますねえ」と調子を合わせています。

客は「今度うちに遊びに来いよ」と、うれしいことを言ってくれるのですが、家を知らないので、
「ええと、お住いはどちらでしたかな……」と聞くと、
「なんだよ。先(せん)のところだよ」とはっきりしません。 
「どうしたい。俺の下駄は?」

「どうしたい。俺の下駄は?」

そのうちに客はお手洗いに立ってしまいますが、しばらくたっても戻ってきません。
「これはお迎えに行かなきゃ」と階下に探しにいきますが、「お連れさんはもうお帰りになりました」とのこと。

「すっと払って、俺に勝手に酒を飲ませてくれようということか。粋な客だね」と一八はひとり合点しています。
ところがなんと女中が、勘定書きを持ってくるではありませんか。

つまり、一八は客に逃げられた挙句に、勘定を払う羽目になってしまったのです。
しかもその勘定には、客の持ち帰りのおみやげ代まで含まれているではありませんか。
こうなると、お酒とうなぎのまずさにもことさら腹が立ってきます。でもどこにも怒りのぶつけようがありません。
しかたがないので、一八が勘定を済ませて帰ろうとすると、自分の履いてきた下駄がありません。

「どうしたい。俺の下駄は?」
すると、「お連れさんが履いて帰りました」。
さんざんな目に遭ってしまった一八なのでした。
── うなぎは、ちょっとしたごちそうとして、今も昔も夏のかっこうの話題だったのですね。

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